「博士の愛した数式」
著者:小川 洋子 / 出版社:新潮社
交通事故によって脳に障害を負ってしまい、80分しか記憶のもたない"博士"と
頭のてっぺんがルート記号√のように平らだからという理由でついたあだ名をもつ"ルート"と
その母親である博士の家政婦の"私"の物語。
"私"が初めて博士の家を訪ねた場面で、博士は「君の靴のサイズはいくつかね」と問い、
"私"が「24です」と答えると、「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」という会話があります。
その後、博士が言葉の代わりに数字を持ち出すのは、
そうしていればとりあえず自分の居場所が確保できるからだと記述されています。
また"数学の静けさ"について「あるべきものがあるべき場所に納まり、一切手を加えたり、
削ったりする余地などなく、昔からずっと変わらずずっとそうであったかのような、
そしてこれからも永遠にそうである自信に満ちた状態」と表されています。
このことから博士は本当に数学を愛しているのだなと感じました。
ぜひ読んでみてください。
(中3 N.Sさん)